3 盲導犬をとりまく環境

盲導犬をとりまく環境『盲導犬をとりまく環境』では、盲導犬に関係することがらの今後について考えるために、盲導犬の歴史と現状をまとめ、現状の中で近年とくに注目されている身体障害者補助犬法の動向について触れてみましょう。

3-1 盲導犬の歴史と現状

盲導犬育成は、1916年にドイツで第一次世界大戦の戦傷盲人支援のために軍用犬育成の方法を活用した盲導犬訓練学校が設立され、福祉事業として組織的かつ合理的な体系のもとではじまりました。そしてこれを起点にヨーロッパ全土、世界20数カ国へと盲導犬による視覚障害者支援が広まりました。

日本では1938年に盲導犬を同伴したアメリカ人旅行者が日本に立ち寄ったことが盲導犬との初めての接触となり、翌1939年には日本の戦傷盲人支援のためにドイツから4頭の盲導犬が輸入されました。そして1957年に国産第一号の盲導犬「チャンピィ」が、現・財団法人アイメイト協会理事長の塩屋賢一さんによって育成されました。
その後、1967年に日本最初の盲導犬育成団体である財団法人日本盲導犬協会が設立され、今日までの間に、国家公安委員会の指定を受けた、9つの盲導犬育成団体が設立されています。各団体は法人格や法人許認可先が異なります。

現在、日本における視覚障害者数は約30万人で、そのうち盲導犬希望者数は約7800人(*8)です。それに対し盲導犬実働数は948頭(*9)であり、盲導犬供給が大幅に追いついてない状況です。

また今後、糖尿病疾患による視力喪失者の増加や、盲導犬育成団体による啓発活動の拡大によって盲導犬希望者数の増加率が高まっていくことが予測されます。
しかしその一方で、盲導犬育成団体は、繁殖犬や盲導犬歩行指導員等の不足、そしてそれらの根本にある財源不足といった問題を長年抱えており、その対策として、中長期の計画的な活動を達成するための安定した財源の確保が急務となっています。
現状では盲導犬育成の財源は、その大半が民間の寄付金(個人寄付、法人寄付、会費収入など)によって支えられているため、今後、よりいっそうの温かい善意による協力と、公的助成金の枠組の拡大が求められています。

*8: 「今すぐ希望」約4700人を含む。1998年の報告
*9: 2003年の報告

3-2 身体障害者補助犬法

身体障害者補助犬法は、身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬。以下補助犬)の適切な育成や管理の義務と、不特定多数が利用する施設への補助犬の同伴受入れの義務(*10)、そして民間施設における従業員や居住者の補助犬の同伴受入れの努力などを定めた法律です。
同法律は2002年5月に成立し、不特定多数が利用する施設への補助犬の同伴受入れについては、2002年10月にまず公共施設に施行され、翌2003年10月に民間施設へも施行されて完全施行となりました。

したがって今後、公共ならびに民間の施設側と補助犬ユーザー側、双方の歩み寄りによる同伴受入れのための体制の整備と共に、同じ施設利用者の多くの理解が求められています(いわゆる入店拒否などのかたちで同伴が拒絶されている場合は、施設側に対する、同じ施設利用者からの「わたしは気にしません」という一言が盲導犬使用者にとってとても大きな支えになります)。

*10: 義務規定ではありますが、施設や施設利用者に著しい損害を与えるおそれがある場合を除くといった内容の但し書きがついています

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